社会福祉法人 春日福祉会 春日中央保育園

〒816-0851 春日市昇町6-114

保育園の特徴及び性格

☆普通であること☆

 私達は、当園で行う保育は普通の保育でありたいと思っています。しかしながら、普通であることは難しい。平凡なことを平々凡々とやり続ける非凡。私達はこれを園訓として「凡事徹底」を掲げています。ある自動車用品の販売会社も同じ文言を社訓としているそうです。では私達が思う普通の保育とは何でしょう。それはスローガン風に言えば「一人ひとりの子どもが大切にされる保育」「一人ひとりの子どもの生活リズムの安定を目指す保育」という表現に尽きると思っています。色々な勉強会を通じて、食事・睡眠・排泄・着脱・遊び等の基本的生活習慣の自立援助、また、情緒や意志の安定すなわち精神的な部分の勉強を行っています。これらの勉強会では「レム睡眠」や「ノンレム睡眠」といったような、保育士には苦手な科学的な勉強も多く、勉強会中に、日々の業務の疲れから、「レム睡眠」を実体験している者もいるかもしれません。

 では教育は何もやってないのかと極端な状況を思い浮かべられる方もおられるかもしれません。厚生労働省は認可保育所に対して、児童福祉施設最低基準35条の規定に基づき、「保育所保育指針」を大臣告示しています。そして「保育所における保育は、養護及び教育を一体的に行うことをその特性とし、その内容については、厚生労働大臣が、これを定める」と示されています。「養護に関わるねらい及び内容」「教育に関わるねらい及び内容」等、指導計画から自己評価まで多岐わたり、細かく詳しく規定されています。保育所保育指針の遵守は、保育所と保育士に課せられた義務であり、又、県の監査にて毎年チェックを受けますので、全ての認可保育園はこれをクリアしているということになります。世間でよくいわれてきた「保育園はただ預かっているだけ」ということは決してありません。ようはそれから先、枝葉の部分がちがうのです。基本はクリアしながら枝葉の部分で、自然との触れ合いを掲げる園、体操教育を掲げる園、早期教育を掲げる園、等々、100の保育園があれば100の保育が存在します。どれが正解というものはありません。その中で私達は、敢えて普通の保育という、声高の謳い文句も、宣伝材料も無い、奇をてらわない保育を日々行っていこうと思っています。早期教育を否定は致しません。その子その子の特性に基づき、長所を伸ばすやりかたであれば、それはとても素晴らしいことだと思います。でも十ぱ一からげでやってしまうと不適応をおこし、元に戻すのに多くの時間と労力を必要とする子供がいることも事実です。それでも早期教育が好きだと言われる方は、是非早期教育を掲げる園に行って下さい。何故ならば、保護者の納得、不納得・満足、不満足は子供に以心伝心で伝わり、家族の意思統一が無ければ家族の幸せに繋がらないと思うからです。

 新聞の記事を2つご紹介して締めくくりたいと思います。

 5歳だったノブ君(仮名)が、独り言のように「平家物語」の一節をつぶやき始めたのは昨年の初夏のことだ。「諸行無常の響きあり・・・」。テレビもつけずに、自宅の居間でボーッとしていて突然、口をつく。子供らしくない疲れた表情を見せ、母親が「どうしたの」と聞いても、つまらなそうに「別に」と答えるだけ。トイレの中で「雨降って地固まる」とことわざを唱えたり、全国の都道府県庁所在地をブツブツとそらんじる日もあった。その3カ月ほど前から、ノブ君は早期教育を売り物にした横浜市北部の私立幼稚園に通っていた。

郊外のニュータウンに越して来て、都内の公立幼稚園から転園した。テレビ番組のヒーローごっこが好きで、おしゃべりだったノブ君の「変調」はほどなく表面化する。朝から「おなかが痛い」と訴え、登園しても片道20分の送迎バスで帰ってきた時には暗い顔で、その日何があったかも話さない。ただ、幼稚園で習ったフレーズだけが、小さな体から吐き出されるようになった。「園児の口から出る言葉じゃない」。母親は戸惑った。


=中略=

ノブ君の母親は「幼稚園では伸び伸びと遊ばせてほしい」と思っていた。十分に見学もしないで息子を早期教育の幼稚園に転園させた自分を責めた。早期教育の幼稚園になじめず、活発さの消えたノブ君を見兼ねて、母親は再度の転園を決意した。昨年7月初め。1学期の終わりが迫っていた。園であったことも話さなくなっていたノブ君が、珍しく「今日ねぇ・・・、涙出ちゃったんだ」と打ち明けたのがきっかけだった。漢字の練習の時間に、たまたま友達とおしゃべりしていて、先生に厳しくたしなめられたという。感受性の強いノブ君は「くしゅっ」となって一日中、ベソをかいていた。その話を聞いて、母親は踏ん切りがついた。夏休みを郷里で過ごし、2学期から自由保育を重視する別の幼稚園に移った。
=中略= ノブ君のように不適応を起こす子供も少なくないといわれ、「幼稚園の特色化が進む地域では、早期教育重視型の幼稚園と、自由な遊びを重視する幼稚園の二極化が進んでいる」と幼稚園情報誌の発行者は言う。
 やまた幼稚園(栗原雅弘園長)は、同じ都筑区で早期教育の対極にある。約2500平方メートルの園庭にはヤギ、ニワトリ、カモ、ガチョウ、ウサギが放し飼い。晴れの日は朝から外遊びで、ワークブックや書き順指導は一切ない。
「子供には遊びが学習。興味を持ったものには集中する。カードを使って漢字を読むより外で遊ぶべきだ。親も納得してくれる」と栗原園長は自信を見せる。

新しい幼稚園に通い始めてから、ノブ君は別人のように生き生きとした表情を取り戻した。送迎バスを降りて、母親に「はい、おみやげ」と牛乳パックを手渡す。中から生きたバッタが出てきたという。登園してから帰るまでコマ回しで遊び続け、「今日ねぇ、コマがうまいって先生にほめられたー」とうれしそうに報告した。早朝、38度5分の熱があっても「行く」ときかないこともあった。「初めから息子に合った幼稚園を選んでやればよかった」と母親は反省する。前の幼稚園でカードで学んだことはすべて忘れ、練習したひらがなも書けなくなった。でも、「好きなコマ遊びだって集中力はつく」と思う。4月、ノブ君は小学生になる。



 3歳児の行動を見守ってきた目白大学短期大学部の中野由美子教授(教育社会学)は、早期教育の教材で育った子供たちの変化が気になる。幼児教室の3歳児に、おやつのイチゴを出した時のことだ。一人の男児が、他の子が手出しできないように器を抱え込むと、英語でイチゴを数え始めた。おやつに飛びつく子供たちを見てきた中野教授には奇異に映った。別の男児は、道路で干からびて死んでいるミミズを見て、「し」の字に似ていると言った。
 図工の授業で、画用紙に「僕」と「犬」という漢字を書き、二つを鎖で結びつける奇妙な“絵”を書いた小学一年生の男児の話も聞いた。フラッシュカードの影響を、中野教授は感じる。

 「子供は、カードを覚えて親に褒めてもらいたくて頑張る。愛情をエサにした学習で親子関係は混乱する。学力は人間としての根っこができてからでいい。人とコミュニケーションを取ったりする能力を身につける方が大切だ」。中野教授は指摘する。

毎日新聞連載「初めの一歩」より抜粋

本の紹介

子どもの才能は3歳、7歳、10歳で決まる! 脳を鍛える10の方法
医学博士 林成之 著

 

早期教育は年々激化し、ついに「0歳児教育」まで出現する有様。だが、子どもの才能を伸ばすのに一番重要なのは脳の発達に合わせた教育である。0歳~3歳は脳の細胞が増え続ける時期で、未熟な脳に負担をかける知識の詰め込みはNG。将来的に才能が伸びなくなる。3歳~7歳の不要な脳の細胞が減っていく時期は、悪い習慣をやめさせることが先決。7歳~10歳からは脳の回路が発達し始めるので、本格的に学習させるべきである。本書では年齢ごとにどのようにしつけ、教育すればいいのかを、脳医学の知見からわかりやすく解説。

 

育て方を間違えて子どもの才能を潰していませんか?
●望まない早期教育を受けさせられた子供は勉強ができなくなる。
●「3歳、7歳、10歳」が重要なターニングポイントになる理由
●子どもの才能は後天的に伸びる
● 「いくら勉強しても頭がよくならない」には理由がある
●3歳~7歳の子どもに父親が果たす役割とは
●10歳以降の子どもに父親がすべきこと
●「勉強しろ」と言わなくても、子どもが自主的に学習する方法がある!